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文化・芸術

2014.08.19

SUMMER SONIC 2014に行ってきました。(8/16〜17)

今年は去年と比べて全般的に面子が地味なせいかなかなかソールドアウトの通知が出て来なかった(最終的に幕張2日券とソニマニしかソールドアウトせず)、というわけで行く事を決めたのは開催2週間前、という状況だったんですが、結局今年も何だかんだで2日間行って参りました。

今年はやはり去年より客が少ないせいなのか何なのか、フードコーナーでも店舗とベンチの配置が去年と変えられていてベンチの数が減らされていたり、結構会場全般に空きスペースが多い感じはしましたが、話によると日本だけじゃなくて今年はどこのフェスもアーティストの確保は大変だという話も。幕張でこうだと大阪はもっと大変だろうなぁという印象。

というわけで今回は結構数回れたのでそれぞれ手短に。

・Childhood
朝一番どれもちょっとピンと来なかったのだがロキノンのJAPAN JAMにも呼ばれていたらしいこのバンドをTOKIOの前に何曲か。2,3曲「おっ」と言わせる曲はあったので今後伸びてくる素質はバンドとしては十分あると思ったけど、ちょっとボーカルが雑だった印象。

・TOKIO
予想通りの大混雑で入場規制かかるんでは、という状態で後ろの真ん中のちょうど機材でステージが生で見づらい場所からモニター頼りに見たが、純粋にパフォーマンスが素晴らしい。”宙船”→”ANBITIOUS JAPAN!”の入りでしっかり客を掴んで長瀬のMCもロックフェスらしく煽り主体、最後にデビュー曲”LOVE YOU ONLY”で締めるというセトリも「良くフェス分かってんなぁ」と感心する内容だし、演奏力も中途半端なロックバンドとは比べ物にならないレベル。今の音楽業界の状況考えるとジャニーズやアイドル業界とこういうロックフェス業界が融合していく流れになるのは必然だと思うが、ジャニーズとしてトップバッターでロックフェスに乗り込む形としては完璧だと思いました。

・Sky Ferreira
曲ちゃんと聴いてないけど前評判高かったんで見てみた。色々キャラが言われてるけどアメリカの音楽エンタメ界でトップクラスに来る人は普通に基礎的な歌唱力がしっかり付いているのでそこは安心して聴ける。ただまぁ本人の現状のキャラだから仕方ないけど何かそっけな過ぎるというか何というか、あんまり自分を売ろう売ろうという「アメリカ人芸能人にありがちなガツガツ感」がないのは見てて戸惑う要素だったかな。



・BABYMETAL
何だかんだで「初めから最後まで全部」見たことがないんだが去年は初めだけ、今年は初め以外全て見れたのでまぁこれで良い。海外のフェスでこなれてきて、3人ともはっきり自分達のステージに自信が付いてきているのが良く分かるライブ。しかし、何かスーちゃんこれまでよりさらに歌上手くなってきてないか。BABYMETALはこれはこれで続けて並行してソロで純粋にポップス歌わせてみても間違いなく並み以上の歌手になりますよ彼女は。



・浜田麻里
「圧巻」以外の言葉が見つからず。もうしつこいくらいに彼女の音量音域を限界ギリギリまでフルレンジに使ったパフォーマンスの連発。多分マイクなくてもマリンの2階席やマウンテンの後ろまで響いていくぞ、あの声量だと。
90年代に大人気になった後もしっかりボーカリストとしての活動を中断せず続けてきた人の強みというか。明らかに全盛期よりパワーアップしていると思った。
それにしても2014年なんて年になってから、この人の”Return to myself”を本人のライブで聴ける、なんて事実が20年前に想像出来たか、と思うとしみじみ。
YouTubeは彼女の高音の声量が特に発揮されるこれを。



・Superfly
浜田麻里の後はマリンに移動してロバート・プラントから見ようと思ってたが、着いたときにこの人のライブがまだ少し続いていたので3曲ほど。昔他のフェスでライブは見ていてこの人の歌唱力は分かっているので安心して見ていられたが、浜田麻里の直後ではこの人の声量ですらあまり大きさを感じない(苦笑)。20年後30年後にこの人もあぁいう風に現役続けてさらに声量パワーアップしていれば良いなと思いながら見ていた。



・Robert Plant
いきなりツェッペリンの"Babe I'm Gonna Leave You"から入ったが、全般的に今のこの人のソロオリジナル曲主体。合間に”Black Dog"とか、締めは”Whole Lotta Love"だったけどその締めもオリジナルのアフリカ民族音楽っぽいリズムのフレーズを混ぜたアレンジで、「昔の自分だけでは売らない」意図をひしひしと感じる。
とにかく数日後66歳、というのは見た目通りなんだけど、ただ立ってるだけであの存在感はやはり凄まじい。歌唱力も全く衰え無し。
ちなみにライブ開始当初は雨が残っていたが、ライブ中にどんどん晴れて、たまたまこの曲の時には空に虹が架かっていました。



・Arctic Monkeys
7年前に「若手バンド」の立場でサマソニのヘッドライナーに大抜擢された時も少し見ていて以来だが、もう今では普通にUKはじめどの国でも大型フェスではヘッドライナーを務める大物バンド。MCもほとんどないし、曲をただ淡々と続けるタイプのライブなのは変わらないが、それでいてあそこまでカッコいいのは何でなんだろう、というのを色々考えながら見ていたんだが、どの曲にも彼らの色(決してもの凄く斬新、というわけでもなく、ベースはごくオーソドックスなロックサウンドだが)がしっかり出ていて「バンド」としてしっかり筋が通っている、それがデビュー当時からほとんどブレていない、てあたりがひとつの要因なのかな。アレックス・ターナーの髪型はリーゼントに変わったけど。



・矢野顕子
去年と同様土曜日のヘッドライナー終了後はシーサイドガーデンに移動して締めのライブを見る。以前ロッキンで見たピアノ弾き語り(あの時は故・レイハラカミとのコラボもやっていた)とは違ってバンド形式でのライブ。ライブ自体もMCも相変わらず自由で面白い。物販の宣伝がてら出て来た「森下仁丹ののど飴」のエピソードが面白かった。ちなみに下記の伊勢丹のテーマソングの前の御本人の情報によると、幕張から一番近い伊勢丹は松戸らしい(笑)



2日目はオープニングアクトから参加。

・パスピエ
もう立場的にオープニングアクトなんかに出すレベルのバンドじゃないよなぁ、と思っていたらやはりマウンテンステージがオープニングアクトとは思えないほど後ろまで客で埋まっていた。演奏も「いわゆる若手バンド」とはかけ離れたレベルの完成度だし。しかしライブ映像とかでも気になっていたがボーカルの大胡田なつき嬢の顔をカメラでしっかりピント合わせて全面で画面に映す事を徹底的に避けるってのは相変わらず変わらないんだな。



・Timeflies
2人組のNY出身のラップユニット。ただ曲にはOwl Cityっぽい軽めのポップスな要素が取り入れられていて、(恐らく彼らのライブでは定番なんだろうが)その場で与えられた日本語の言葉で即興でラップする(それをYouTubeにアップするのが定番らしい)、てなコーナーもあったりして、ライブを盛り上げる工夫が色々あったのはさすがあっちの国の人って感じ。



・A Great Big World
今日楽しみにしていた一組だが、やはり曲がどれもこれも多幸感にあふれていて素晴らしい。代表曲”Say Something”ではクリスティーナ・アギレラのパート担当でゲストボーカルとしてMay J.が登場してきたが、歌詞にちらほら日本語訳を入れるサービスも。大阪では大雨による機材トラブルでまともにライブが出来なかったそうだがこちらは快晴でしっかり出来て良かったですね。



・Charli XCX
バックバンドは女子オンリーのスリーピースでご本人は大暴れなパフォーマンス。最初から最後まで、とにかく楽しくてアガりっぱなしになれるライブ。前日のSky Ferreiraとはキャラが対照的でこちらはとにかく分かり易く客を煽ってガンガン踊らせるタイプ。恐らく日本でウケるのは間違いなくこっちだろうな。数年前に大ヒットしたIcona Popとのコラボ曲(I Love It)もやってくれたが、個人的には締めにやった最新のシングル曲”Boom Clap”が結構好き。ところでこの人一応UK出身だけど、多分顔つき見る限り中東系の血ですよね。



・Robert Glasper Experiment
サマソニの昼間のマウンテンステージでこういう一流のジャズバンドのライブが見れる、というのもなかなかない機会。裏のきゃりーぱみゅぱみゅ(ソニックステージで入場規制発生)と被っていたのでそれほど客は多くなかったが、いかにも大型フェス向けに考えられたセットという感じでスタンディングで聴いていても楽しかった。Daftpunkの”Get Lucky”もやってくれた。
YouTubeにはなぜかライブ丸ごとの長時間のものが多くて、今回のライブに構成的に近い映像としてはこれかな。



・森高千里 with tofubeats
森高千里(45)TVで見てもだが生で見てもやはりあの可愛らしさは反則レベル。青いワンピース姿で脚も全然細いし、それで「私がオバさんになっても」歌われりゃもう参りましたとしか言い様がない(笑)。後半はtofubeatsの曲中心だが、その前にやった「ストレス」のアレンジが狂いすぎていて素晴らしかった。今回は裏方的な立ち位置だったけどtofu君(森高嬢がMCで彼の事をそう呼んでいた)もなかなか良い曲作りますね。



・Ben Watt with Bernard Butler
Everything But the Girlもあんまり知らないし、ほとんど予備知識なしで聴いたが、大音量なロックが大半のこういう大型夏フェスの中でこういう「喧噪から離れたゆったりしたギターソング」をしんみり聴くのってホントに良いなぁ、と。全般的に聴いてすごく気に入ったので、アルバムちゃんと聴いてみようと思った。



この時点でずっと立ちっぱなしでかなり疲れたので、次の時間はパスして最後のKraftwerkだけに絞りこもうと思ったが、一応姿くらいは見ようとマリンに移動してQueen+Adam Rambertを最初の4,5曲ほど見た。アダム・ランバート、高音の響きは素晴らしいと思うし今フレディの代わりのボーカルとしては確かに一番適任なのかも。最後まで見た人はネット上で絶賛の嵐だったが、やはりみんなQueen大好きなんだな。

・Kraftwerk
朝から会場で配布していた3Dメガネで真ん中のモニターの3D画像を見ながらのライブ。いきなり”Robots"から始まって、その後も過去の有名な作品ほとんど勢揃いという感じで、何だかこれまでの活動の総括的な内容のセット。”Radio-Activity"も例の福島の事故以降やっている日本語を取り入れたバージョン(曲の前にラルフ氏から日本語で「坂本さんのご快復をお祈り致します」というメッセージもあり)。でもこの人達ってもう活動44周年だというのに、こんなに古くささの欠片もないどころか未だに先進的な要素すらあるって、ある意味奇跡的なのでは。



というわけで、何だかんだで行けば色々楽しめます。フェスというものは。
だんだん座る場所のないフェスに2日間というのもつらくなってきたので、来年以降行くならプラチナチケットにでもしようかとも考え中。

2012.08.20

サマーソニック2012 幕張会場1日目(8/18)に行ってきました。

何か競馬の予想以外のBlogの記事って、ドイツ赴任になった2年以上前以来に書く気がしますが(笑)
いつもいつもツイッターばかりだと短い文しか書けない体になってしまうのでぼちぼちこちらも再開しようかなと。

先週末の土曜日、3年ぶりにサマソニ行って参りました。幕張土曜日(8/18)の1日。というわけで久々にレポなどを。

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当日は朝10時過ぎ頃に幕張に到着したわけですが、その時点でもの凄い雷雲が千葉県湾岸沿いを覆っており、京葉線の南船橋駅に乗り替えでいた頃は土砂降りの雨。
それでも海浜幕張駅に着いた頃には若干雨は緩くなってきて、そう遅れる事もなく会場に到着。

当日は結局下記のステージを見ましたのでそれぞれ感想を。(以前同様、セトリに基づく細かい曲紹介なんてのはそういう方面のブログや情報サイト見てもらえれば)

・きゃりーぱみゅぱみゅ(SONIC STAGE)
まぁ予想はしていたがソニックステージは開演前から後方まで超満員。
そりゃ芸能界での仕事はずっとやってたんだろうが歌手としてはまだジャスト1年のキャリア(本人談)なんでどの程度のもんなのかと思ってたが、客の煽り方含め予想以上にステージ慣れしてるというか度胸が据わってるというか。タダモンじゃないですわやっぱり。まぁ結構他のフェスにも毎週出てた様なので慣れもあるのかも知れんが。
個人的には「アンアンアアンアン、ぱみゅぱみゅ、アンアンアアンアン、きゃりーぱみゅぱみゅ」というフレーズで洗脳されそうになる、バイト雑誌anのCMソング「きゃりーANAN」の盛り上がり方が一番だった。
ただ、あぁいうPVで話題になってるキャラではあるので、ライブでのパフォーマンスに「PVで見せている世界以上の展開」が特にある訳ではないですが。それはまぁ立ち位置的には仕方なし。
あと、後方でマターリ眺める人間の中で空気読めずにモッシュを始める輩が出て一瞬殺伐とした空気が漂った(苦笑)
ちなみに11月には早くも武道館でワンマンやるらしい。

終了後、ちょこっとだけレインボーステージに行って、ここ最近良く音楽メディアでも紹介されている覆面バンド・MAN WITH A MISSIONも10分ほど見たんだが、確かに色モノバンドで終わらせるバンドではないという印象は持った。

その後マウンテンのAlexandra Stanを見る前に隣のソニックのGrimesの1曲目だけ見る。
何か「まだまだステージ慣れしていない新人ミュージシャンの女の子が1人で機材を一生懸命いじってパフォーマンスしてる」感があってあれはあれで萌え要素かと(笑)

・Alexandra Stan(MOUNTAIN STAGE)
ドイツでFMラジオで相当流れていたヒット曲”Mr Saxobeat”がいきなり1曲目、その後結局ラストにもう1回。
というかもう御本人が出て来た時のお姿が何とも(目の保養的に)素晴らしくて。このあたりにある御本人の写真を見りゃ分かると思いますが。PVの様なケバさもなく、写真よりホンモノの方が絶対いい。過去にライブで生で見た歌手の中でもルックスといいスタイルといい間違いなく5本の指に入る存在ですな。
MCでは真っ昼間なのに”Tonight"を連発していたのが何ともだったが、メッセの屋内だったからわざとそうなのかリアルにボケてたのかは今でも分からず。
個人的にはドイツ滞在時にヨーロッパでそこそこ聴いていたから知ってたってのと、ルーマニア・欧州発での人気というのもあって現状での日本での知名度が何とも判断しかねたんだが(タワレコあたりではプッシュされていたのは確認していたものの)、いざフタを開けてみるとマウンテンが最終的には結構満員で、締めに一斉にあの曲に合わせてジャンプってのはなかなか壮観でした。知らなくてもノレる曲ばかりで。
この人は今後日本でももっと人気出る可能性はかなりあると見てます。


・Lostprophets(MARINE STAGE)

自分のスケジュールとしてはこの辺りの時間は結構空き時間でどこに行くか当日まで迷ってたんだが、やはり朝から夜までメッセにこもるよりは一度くらいはマリンにも行こうという判断のもとこちらへ。
あまり予備知識も無くスタンド1Fの雨がある程度しのげる後方座席に座って見てたんだが、まぁこういうメタルな系統の人なので、ステージ上もさることながらアリーナのファンの暴れっぷりも半端なくて。
ダイブした客が、前方のステージとアリーナとの間のエリアに落とされて係員に誘導されてアリーナの左右の端まで走って行って入り直す、という光景が立て続けに見えるのを遠目に結構楽しんでいた(笑)
ステージ上のバンドだが、まぁよくも最初から最後まであのテンションを一切途切れさせずに続けられるな、というのは素直に感心。ジャンル的には自分にストライクなものではなかったが。



・吉井和哉(MARINE STAGE)

その後のソニックのGotyeを見るために前半しか見なかったのだが、1曲目いきなりイエモンの”SPARK”から入って「つかみはOK」な感じが。その後も”LOVE LOVE SHOW”とか、ラストの締めでは”JAM”もやったみたいで、何てアラサー・アラフォーホイホイなセトリかと。残念ながらその時間にはいなかったが。
しかし本人曰く45歳らしいが、ボーカリストとしてはイエモン時代から全くもって衰えがないな、これはホントに感心した。歌唱力・声量ともこれまで見て来た日本人ロックシンガーの中でも世代関係なくトップクラスだと思う。


・Gotye(SONIC STAGE)

今回事前に見る予定を組んでいたアーティストの1人。この人の曲もドイツ滞在時にFMラジオで流れまくってたもんで。
ステージ上では本人はボーカル以外にパーカッションも担当するんだが、それがあちらこちらに置いてある何種類もの機材を曲ごとに使い分けていて、まぁ凝り性な人なんだろうな、と。
翌日観たWOWOWの現地中継番組でクリマン清水社長がこのGotyeについて「完璧主義な人でステージのクオリティが保てないとやりたくないと言われて出演交渉が相当難航した」とのエピソードを語っていたが、ステージ見てればそれはすごく良く分かる。とにかく金の掛かったステージ、という印象。
でもやはり彼のステージで最大の印象は、MCを9割方日本語でこなした、という点。それも海外アーティストのフェスにありがちな「あいさつだけ」とか「地名だけ」とかいうレベルではなく、「じゃぁ、次はこの曲でいくよ」とか、完全に文法的に日本語として成り立つ言葉をしゃべってくる。
この御本人、オーストラリア生まれだがベルギー人という事で、ベルギーというと元々公用語が2カ国語で4カ国語5カ国語なんてしゃべれて当たり前の人達ですし、まぁ外国語を覚える能力には長けてるタイプの人なんだろうな、という気はした。恐らくどの国に行ってもその国の言語でMCやっちゃうタイプじゃないだろうか、と想像。
ヒット曲の”Somebody That I Used to Know”だが、フィーチャリングの女性歌手Kimbraはさすがにこの1曲だけでわざわざ来る事はなく、どうするのかと思ってたら、御本人「Kimbraさんが今日は来られないので、Kimbraさんのパートはみんなで歌ってね」などといういきなりかなりハードルの高い要求を(当然ながら日本語で)突きつけてきたんだが、前列のオーディエンスはそれなりに対応していて何とかその場は保てた感(笑)

・Nelly Furtado(SONIC STAGE)
ラストのSigur Rósまでの時間はこの人の最初聴いてマウンテンのthe Hiatus聴いていこうか、と当初は考えていたものの、いざこの人のライブ見始めると結局最後まで見てしまった。
ポルトガル系カナダ人だが、北米のいわゆるR&B系のディーヴァとしてご多分に漏れず、まぁその声量の圧倒的なこと。
それに加えて、天然でエフェクトがかかってるのかと思ってしまう様な非常に特徴のある声質で。
あと、曲の最中にバックダンサーのおじさんが1人ステージ上の後ろで小さいサイズのフラフープみたいな輪っかを色々操りながら所狭しと踊り回ってたのが前半は非常に気になった(笑) Rihannaのステージを後でライブ中継見たけど、そちらでも同じで、米国アーティストのステージはバックのダンサーやコーラスやバンドにも色々と凝る傾向がありますな。
ちなみに本人に加えてサブボーカル担当の女性歌手もずっとステージに居たんだが、その人の歌唱力も相当高い。
最後の締めは5年ほど前にMTVでも結構聴いた”Say It Right"。

・Sigur Rós (MOUNTAIN STAGE)
自分にとっての今年のサマソニは、この人達のライブを見るのが初日の1日券取った目的の実質7割8割だったわけでして、当然アルバムも色々事前に聴き込んで臨んだ訳だが、もう何とも。事前に想像してた様なレベルのはるか上だった。
あの世界は、もはや素人がblogで並べる様な陳腐な言葉では表現不可能。何だか「あり得ないもの、見てはいけないものを見てしまった」的な。音楽ジャンル云々、といったものの次元を完全に3つ位超えている。
前半は新アルバム中心、後半のは今年前半に出したライブアルバム”INNI”のものに比較的近い旧盤曲中心のセットだったが(セットリストはこちら参照)、もう特に5曲目”Sæglópur”以降、事前にやって欲しいと思っていた曲をほぼ漏れなく連発してきた展開はまさに神。「神」というのは2chで使う強調語の次元じゃなくて、ホントに「その場に神がいた」様な雰囲気も感じられる内容。聴いてる側もその時間だけ別次元な場所にいる感じで。ステージ後方に流れる映像も完全に音楽と一体化している。
それと、彼らこそCDやYouTubeよりも絶対ライブで聴く方が印象は数段上、という事が今回改めて確認出来た。ライブだととにかく音量に一切遠慮なし、というか、もう爆音で徹底的に攻めてくる。Jonsiのファルセットボイスのあの響き方もCDとかYouTubeとは明らかに違う。
さらに、観に行く前からとにかくラストの締めは絶対この曲で、と思っていた”Popplagið (Untitled 8)”で期待通り締めてくれて、個人的には満足度100%でございました。

この↓YouTubeの6分30秒以降にある、あの「無限に続いていくかと思わせるクレシェンド」を生で体験出来ただけでもう十分です。

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個人的には最後のSigur Rósだけでも十分チケット代の元が取れた感もありますが、それ以外にも今年のサマソニは見たステージは全てハズレはなく、かなり満足。
裏の日もRihannaやらNew OrderやらPerfumeやら、見に行っても良かったかなと思わせる面子ではありましたが今回は一応1日のみ。でも来年は面子次第では久々に頑張って2日間行ってみようかな、とも考え始めております。
フジ3日間はちょっと体力の使い方が違うんで(笑)自分にはもう結構きつい気はするけど、サマソニなら幕張で泊まる場所とかしっかり確保すれば何とかなりそうですし。あ、野外から逃げ場の無い大阪では無理ですが(笑)

話は変わって、その大阪会場では土曜日にこんなことあんなことそんなことがあった様でなかなか大変だったみたいですが、屋外でのフェスだと天候はどうしようもないですからねぇ。
同じ大阪のa-nationの会場近くでは雷で死者まで出てしまったそうで、サマソニ会場でそこまでの被害がなかったのは幸いだったと思うが、元々あの舞洲の会場は屋内への逃げ場がほとんどないし、相変わらず解消されないアクセスの問題もあるし、やっぱり大規模な屋外フェスを開催する会場としては色々問題があると思うな。
自分は2007年に大阪のあの会場(舞洲に移った初年)に行きましたが、それ以降は毎年幕張にしてます。

というわけで、来年もまた行こうと思います。誰がヘッドライナーになるのかを今から想像するのも一興。
間もなく新譜出すMUSEあたり来てくれんですかね、この前はフジだったし。

2010.08.29

アーティストの他国への進出の件。その2

前回、続きは明日と言っておきながら結局1週間経ってしまった(笑)。
まぁ長いネタは週末くらいにしか書けんわ、実際のところ。

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さて、前回は欧米地域に進出する日本のアーティストのネタだったが、今回は逆で、日本に進出してくる海外のアーティスト(というかタレント)のネタである。

ここ最近、韓国のアイドルユニットが立て続けに日本でデビューしている様なのだが。
既にアイドル歌手ユニットというと東方神起あたりはしっかり実績残しているが、今さかんに日本に来ているのは女性アイドルのユニット。しかもそれぞれ地元韓国では実績十分な大人気のユニットばかりだそうだ。
例えばこんなの。

まずは今年の5月にこの”4minute”ってのが切り込み隊的に日本にやってきて、2曲ほど出してどっちもオリコンチャートでは初登場20位台あたり。まぁそこそこな位置。

4Minute『世界を魅了する韓国女性グループが日本上陸!!』

で、その次に8月になるとKARAっていうユニットがやって来た。こちらはかなり事前にも宣伝に力を入れていたらしく、メディアの取りあげ方も一般スポーツ紙含めかなりのもの。

KARA『楽しく自由に遊んで 一生懸命!!K-POPガールズ期待の新鋭が日本デビュー』

韓国人気グループKARA、“ヒップダンス”に3000人熱狂

KARA、日本デビュー記念握手会に劇団ひとりが祝福

で、いざCDデビューしてフタを開けてみると何とオリコンチャート初登場5位まで持って来た。

韓国ガールズグループ・KARA、ノーランズ以来29年8ヶ月ぶりの海外女性グループデビュー作TOP10入り

で、来月にはいよいよ韓国の女性アイドルユニットの中でもトップクラスと言われるこのユニットがCDデビューとのこと。
こちらは先にデビューした2組をはるかに上回る規模で大キャンペーン中。

“美脚”グループ・少女時代、韓国女性グル―プ初のDVD総合TOP5入り

“少女時代”到来!? 日本デビュー前に2万人超イベント

KARAとの規模と比較しても、普通に考えても恐らくオリコンチャートでは相当な上位に来るのではないかと想定される。

ーーーーー

さて、上に紹介した韓国の女性アイドルユニットの各種イベントなんだが、どうも日本のアイドルユニットとは明らかに違う客層らしく。
以外に多いのが10代20代の女子なんだと。
あと、ネット見てると男性だと結構高い年齢層にも名前が通っている様で。

今日本じゃほぼ一人勝ち状態のAKB48など、客層は20代/30代のヲタ男性が中心なのだが(さすがに今では女子にも名は広まりつつあるけど、人気出る前は完全にヲタ男性がターゲット)、彼女らのイベントに集まるのは全然そっち系じゃないんだとか。

それを読んで、なるほど韓国らしいな、と思った次第。

これを「韓国らしい」と思った理由は何か。
それは、全然違うビジネス分野ながら、自分が今関わる業務分野でも韓国の人達の海外のビジネスのやり方には際立った特徴があると思ったので。

ーーーーー

韓国人の海外でのビジネスのやり方にはジャンルに関わらず1つの共通点があり、それは
「他の国がなかなか行かない様な市場への進出が異常に早い」

ということ。
例えばアメリカがかつてテロ支援国家に指定していたリビアとか、旧ソ連の中央アジア諸国とか、中近東の小さい国とか。
驚くくらい、「こんな国になぜ」という様な国に韓国人が先に乗り込んでいる。

あと、今住んでいるドイツでも、アジア人向けの輸入食料品店とか、カラオケバーとか、そういう店を経営しているのは大部分が韓国人だったりする。
当然彼らは日本人相手にもそういう国でちゃんと日本語で商売をする。ほぼ全員が滞在先の言語以外に日本語も話せる。多分中国語だって話せる人いると思うよ。

なぜ韓国人はそういう商売のやり方をするのか。
ある所で聞いた韓国人の話によると、
「韓国製の製品は、海外で売ろうとしても、品質では日本製に負ける。さらにコストでは中国製に負ける。
だから日本製や中国製も売られている市場に持っていってもセールスポイントが無く苦しい。
じゃぁどうすれば良いか。日本も中国も進出していない様な場所に行って商売するしかないじゃないか」

という発想なんだとか。

それに加えて韓国という国は面積も小さいし人口も少ない、さらに少子化は日本なんて甘っちょろいレベルで激しい進み方。
だから国内市場も日本よりはるかに縮小傾向であり、国内の商売でなんてやっていけない。
(これは韓国国内のCD市場もそうらしいが)
だから上の様な発想で海外で商売しないとこの国の企業は食っていけない、という事。

その結果、日本じゃほとんど見ないHYUNDAIの自動車はアメリカに行っても中国に行っても、さらには最近ではヨーロッパ各国でもかなり目に付くし、SamsungとかLGとかの家電製品とか携帯は、海外のどの国に行っても、日本の家電をほぼ凌駕している。
Samsungの2009年のInterbrand社のトップブランドランキングなんて、日本のどの電機メーカよりも上(世界で19位)だし。(ちなみに日本企業でこれより上なのは8位のトヨタと18位のホンダのみ。ソニーは29位、パナソニック75位)
トップ100のランキングについてはこちらを参照されたし。

日本の外に出たら、いかに今世界中で日本製品が韓国製品(最近は中国製品も)に押されっぱなしか、誰の目にも良く分かるよ。
日本国内に居る限りは全然感じられないだろうけど。

ーーーーー

話を元の芸能界に戻そう。
韓国の業界が彼女らアイドルユニットを売り込むのに、どういう戦略を立てているか、それがこの今回のKARAの売り込み方を見てると非常に明快。
明らかに日本人が気付いていない「別のファン層」の存在に気付いていて、そこを突いてきているってのが良く分かる。

日本の業界って、AKB48がちょっとあぁやって20代・30代のヲタ男性をターゲットに成功したのを見るや、その後雨後の竹の子状態で同じ様なフォロワーのアイドルユニットがわんさか出てきている。
でも彼女らを見てると結局ファンのターゲットはみんな同じ。女性アイドルユニットを好むのは20代・30代の、可処分所得の高いヲタ野郎共、という枠組みをみんな揃って作ってしまって、その狭い範囲の中でファン層の奪い合いをしているのが実情。
女子はみんなジャニーズとか男性アイドルに行っちゃうだろう、と決めつけてしまっている様にすら見える。
AKB48はようやく最近は女子含めた一般層にも名前が広まりつつあるが、これはごくわずかな勝ち組にのみ発生する傾向。
「その他大勢」のアイドルユニットなんて一般層はみんな興味無いのが実情だろう。

でも良く考えたら、例えば昔だと、あの一世を風靡した”SPEED”なんて、女子にもめちゃくちゃ人気あったじゃないか。そもそもカラオケで歌われる事考えれば、女性アイドルユニットを女子向けに売り込むのって何一つおかしな戦略でも無い。
でも結果的に今の時代の日本のアイドルユニットでそれを実行しているのってほぼ皆無。
それを見て韓国の芸能界がそこを突いてきたってのが実に皮肉というか何というか。
ある意味、国内の業界に関わっていない、日本の外から状況を見る立場だからこそ実行出来た戦略なんじゃないか、と思っている。

今ふと思い返せば、東方神起のファン層ってジャニーズを追っかけるファン層と微妙に異なるよね。明らかにジャニーズのファン層である10代中高生をコアにしていない、もう少し上の年齢層をターゲットにしている様に思える。
彼らが時間を掛けてでもちゃんと日本の歌手活動を軌道に乗せたのは、ジャニーズと微妙に被らないファン層の構築に成功したからだと思う。(まぁ結局自前の事情で分裂しちゃったけど。あれはもったいないなぁ)

ーーーーー

あともう1つポイントがあって。
韓国のユニットってちゃんとステージ上の歌やダンスといったパフォーマンスにしっかりした「売り」を持ってる子達だな、という感じがする。

少女時代、愛される理由は「プロフェッショナル性」

そんなファンの心を掴む『少女時代』の魅力は、「歌、ダンス、スタイル全てがすごい!」というプロフェッショナルさ、そして「曲を聞いているとクセになる」という点にあるようだ。

日本のアイドルにありがちな「歌もダンスも特に目立つ訳では?なんだけど可愛いから売れてる」的な売れ方なのアイドルはほとんど存在しない気がするな。まぁそういう要素で売るのは「日本人」でないと厳しいから当然かも知れないけど。
もちろん日本のアイドルでも、曲やダンスのクオリティ勝負で広いファン層の支持を得ているPerfumeという好例もあるが、こういうのは本当にまれ。

で、ここ最近の日本で「プロっぽくないけど身近な存在」が売りの芸能人があまりにも乱発され過ぎて、もういい加減みんな飽きてきたんじゃないのかな、と。
そういう人達が結果的に韓国のアイドルユニットに流れる、ってな構図は十分あると思うな。

これ、書いてみた後に良く考えたら
「日本のドラマの拙い脚本やヘタな演技の役者に飽き飽きしていた年配の人達が韓流ドラマを見てハマる」
という構図と全く同じ
なんじゃないか、て事に気が付いた。
同じ事が今度は音楽業界でも起こりつつあるんじゃないの。

とりあえず再来週の少女時代がオリコンで何位くらいに来るのかには注目。

2010.08.23

アーティストの他国への進出の件。その1

ここで芸能ネタを書くのも久々だな、一時期は毎日の様に書きまくっていたのに(笑)。

ーーーーー

タイトルの件で。日本のアーティストが国外に進出するケース。

夏フェスも一連のフジ→サマソニ&ロッキン→ライジングサンの大型フェスが終わり、ピークも過ぎたところであるが。
当然今年は日本に居ないのでどのフェスにも行けなかったけど、フジもサマソニもライジングもすごく行きたくなる面子で、行った方々が羨ましい。

で、そういった日本のフェスが開催されている裏で、当然ながら他の国でも同様の野外フェスが開催されている。
欧州は6月にイギリスのGrastonburyとかドイツのRock Im Ringとかといった大型フェスが多いのでこの時期はあまり無いが、アメリカではLollapaloozaという都市型(サマソニ的な)フェスでは最大のフェスがちょうどロッキン・サマソニの裏の日程(8/6〜8/8)で開催されていた。
今年はそのLollapaloozaに日本から初めてX JAPANが出演。
それほど大きく一般芸能ニュースで取りあげられている訳でもないが、こんな大型フェスに日本のバンドが出演するというのは本来もっと大きな記事にしても良い気がするのだが。
ただでさえ音楽関係ではろくなニュースが無い時期だし。

で、こういうのはスポーツ新聞を筆頭とした一般芸能マスコミの記事だといつもの「1を100か1000くらいに誇張して記事にする」ケースなのがオチなので、そういう情報は一切無視して(笑)、実際彼らが向こうでどういう待遇で客からどういう反応をもらっていたのかなぁ、というのを色々と調べてみた。

まず、実際彼らがフェスのどういうステージでどのあたりの位置で演奏する扱いだったか。
これはもちろん主催者のWebサイトでタイムテーブルを見れば誰でも一瞬で分かる。

2010年のLollapaloozaのタイムテーブルのうち、X JAPANが出演した最終日8/8のものはこちらを参照。
これを見たら分かるが、このフェスのメインステージである”Parkways”の、合計5組のうちの真ん中・3組目の位置での演奏。これを見る限り、こんな大型フェス初出場にしてはかなり良い扱いだという事が分かる。
ちなみにこのステージの3日間それぞれのトリ(ヘッドライナー)は、初日Lady Gaga、2日目Green Day、最終日Soundgardenといったアメリカでもトップクラスの人達。それと同じステージだからな。

主催者からは結構良い扱いである事が分かった。
では。実際客の反応はどうだったんだろう。

これに関しては、既に何件かこのフェスのライブ映像がYouTubeに落ちている。それを見てみよう。特に客席側を映している映像に着目。

8/8のX JAPANのステージ 客側の様子を映したものがこれ。

皆さん、これ見てどう思われますかねぇ。
正直なところ、お世辞にもこのステージにしてはイマイチな客の入り、という感じが。
前の方は盛り上がってそうだが、こりゃ明らかに「日本から来たファン」っぽいしねぇ。

比較対象として、今年のこのフェス、同じステージの他のアーティストの客側の様子を見てみよう。

まず、8/7(2日目)の、X JAPANとちょうど同じステージ・同じ時間帯に出てきたGogol Bordelloのステージの客側を映した映像。

続いて、8/8、X JAPANと同じ日、彼らのすぐ後に出演したWolfmotherのステージ、

まぁどう見ても客の入りでは負けてますわな。

いや、ここでX JAPANをからかう気などは毛頭無い訳で、そりゃアメリカの「一般の音楽ファン」(特に日本に興味無い、本当の一般のファン)における彼らの知名度はまだまだ低いのは当然な訳で。YOSHIKIだって事前のインタビューで「アメリカではまだ新人ですから」といった事を言っていたし、当然本人達は自覚してると思うよ。
一方でABCのニュースなんかには単体で取りあげてもらったりして、やることはちゃんとやってる様だし。
まぁ、この後米国ツアーがまたあるそうだし、そういう所で地道に知名度を上げていく所なんだろうな。近道を狙って売り込むのは賢明じゃないと思うよ、個人的にも。
色々裁判沙汰もあるみたいだが、今後とも頑張って頂きたい。

もう1件、同様のネタがあるのだが長くなったので続きは明日。

2010.08.22

日本を外から見ていて気付くこと。

あんまりこっちを放置してつぶやいてばかりいると短い文章しか書けない体になってしまいそうなので久々にこちらも(笑)。

というか、つぶやいているとなかなか短い文ではまとめづらいなぁ、というネタがぼちぼち自分の中で集まりだしてきたのでここで改めて書き直してみたいと思う。

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まず今日ちょっとつぶやいた電話の話。
ドイツはドイツテレコムという、日本で言うとNTT的な1社が固定電話はほぼ独占状態なのだが、それ以外に格安電話会社というのが何社も存在していて、単にその会社の頭の番号(5ケタとか6ケタ)を付けて電話すれば料金もドイツテレコムと一緒に引き落としになる、という仕組み。

で、当然たまには日本にも個人的に電話を掛ける場合がある訳だが、普通にドイツテレコムを使うと固定電話で80セント/分、携帯電話だと1ユーロ/分以上。
ところが格安電話会社で最安のものを探していくと、固定電話だと2セント/分以下、携帯でも5セント/分以下の通話料金で日本に電話出来る会社が実際に存在する。
格安電話会社の日本向けの通話料金比較表をまとめてくれる便利なサイトがあるので、これで日々確認出来る。

これは部屋の固定電話から掛ける場合の話だが、じゃぁ携帯はどうかというと。

海外から期限付きで来ていると携帯電話を何年縛りとかの契約で買うのは色々後で大変そうなので(iPhoneがどうしても使いたければまぁそっちで買うしか無いが)、大抵の人はプリペイドの携帯を買う事になる。
プリペイドなら、携帯屋や電気屋に行ってパスポート見せてサインするだけで何10ユーロとかであっさり買えてしまうし。

で、個人的にはVodafoneのプリペイド携帯を持っているのだが、ドイツのVodafoneのプリペイド携帯の料金コースの中には国際電話を良く使う人向けの”International”コースというのがある。
それは毎月必ず1.99ユーロを基本料金として払わなければならないのだが、それさえ払っておけば、日本の固定電話には9ユーロ/分、携帯電話にも19ユーロ/分で「普通に日本向けに+81付けてかける」だけで使える。わざわざ格安会社を使わずともこの値段レベル。
日本でドイツに携帯から電話する事を考えると、こんな値段で普通に掛けるなんてとてもじゃないが想像出来ない。

電話料金だけじゃなくて、ドイツに居ると気付くのは、電気代を初めとした「生活に必要な」サービスの料金が総じて日本と比べても安く感じること。
電車賃なんかもそう。ICEという特急など、同じ時間乗っていても新幹線の半額くらい。

冬になるとほぼ全国全ての世帯に暖房用の蒸気が供給されるので、暖房の燃料代も日本の灯油代とか電気代みたいな形の出費にはならない。

一方で、ちょっと高い食べ物とか高級なレストランで食べたり、輸入食材なんか買ったりすると日本と比べて高く感じる時もある。普通の食べ物とか飲み物は日本とそんなに値段は変わらない。

自動車なんかは中古でもやっぱりベンツやBMWの価格は日本と大して変わらないし、ガソリン代も日本で「いつもより高くなってるな」と感じるレベルくらいの価格帯か。
ただ、高速道路が一切無料というのが車の維持費を下げるのに相当影響している気はする。
当然渋滞避けて高速道路走っていれば燃費は一気に良くなるしね。

ちなみにドイツでは消費税率は19%、食料品のみ7%(飲食店除く)。日本が5%だ10%で議論しているレベルをはるかに上回る。
(ヨーロッパは大体どの国も、食料品以外の消費税率は20%前後だが)

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で、まとめて思うのは、明らかにドイツ含めたヨーロッパって、「贅沢品は日本より高いけど、公共料金とか電話とか鉄道とか、誰もが使う物の料金は意外に日本より安い」という傾向があるな、と。
ヨーロッパと日本、どっちが住む人に優しいかは言わずもがなで。というか、非常に合理的・リーズナブル。金持ちにとっても貧乏人にとっても。

日本は電話代とかなかなか(ヨーロッパの様なレベルには)安くならないし、電気代やガス代も高いし(オール電化のマンションだとまぁそこそこ安くはなるが)。
その一方で牛丼が270円だか250円だかの10円20円の争いでアホみたいに安さ争いをしている。牛丼食わない人には何一つ生活への影響が無い、そんなところでの争い。
「そんなもん別に必死に値段下げなくて良いから、公共料金とか電話料金を同じ様に値下げしてくれ」と思ってる人いるんじゃないの?

先日、日本が中国にGDPで抜かれたなんてニュースが流れていたが、GDPが伸び悩む最大の要因と言われている「個人消費の落ち込み」。
あれなのだが、そもそも日本の市場って、贅沢品みたいな「別にそんなに値段下げなくても買う人は買う、買わない人には関係無い」物ばかりがどんどん値段が下がって、一方で「絶対国民全員が生活の為には支払わなければならない」電気代とか水道代・ガス代・電話料金があんまり下がってこない、そりゃこんな状況じゃ消費なんて伸びていく訳がないと思うのだが。
明らかに日本ってものの値段の設定がおかしいと思う。海外に来て暮らせば良くそれが理解出来る。

では、なぜそんな「本来価格下げなくても良い贅沢品」がそんなに値段を下げる事になるのか。
これは以前から「ガラパゴス携帯」等でさんざん指摘されている日本の全てのビジネス分野における問題。同じ分野に競合他社が無駄に多すぎるのが最大の原因。
国内で何社も同じ様な製品を同時に売るから、安くしないと買ってくれないので互いにどんどん無駄な価格競争を繰り返していく。それが日本で起こっている事だと思う。
まぁこれは戦後高度成長期を通して日本政府が進めた護送船団方式の負の遺産だとは思うが。

この「無駄に多い日本国内競合他社」が、グローバルビジネスの世界で何を起こしてるかというと、例えば他国の企業と競合入札で争う様な場面にもかかわらず、同じ国内の他社との争いにまで神経を使わなきゃならなくなる。明らかに他国の競合他社より余計な労力を費やす事になるわけ。
大体競合入札に参加するって以上、他社との技術力とかリソースのレベルに「圧倒的な差」は無いのは当然。(そんな差があれば、勝ってる会社以外はわざわざそんな争いに本気で参加したりして来る訳がない)
その「同じレベルのリソース」を使う効率が明らかに日本の方が悪くなってしまうわけ。日本同士の争いにまで気を遣ってしまうために。そりゃ海外の企業より不利だわな。

何か、日本って国が今どうして伸び悩んでいるのか、その原因の一つが見えてきた気がした。

ーーーーー

写真は特に本文とは関係無し。先日観光で行ってきたベルリンのブランデンブルグ門。

Brandenburgtor

同じ様に、つぶやいていて自分の中で盛り上がったネタをもう1件明日投下予定。

2010.05.15

今後の音楽ビジネス展望(大げさ)

さて、個人的な話で恐縮だが、明日出発で2年ほどドイツに滞在する事になった。
今まで日本の音楽業界のネタを何度か書いてきたが、取りあえずは現状何が起こっているのか、今後どうなっていくのか、的な纏めをここで書いて、このBlogでのネタ提供は取りあえず一旦区切りを付けようと思う。

まぁ、今じゃネットがあるので日本に居ても居なくてもあまりこういう分野に触れられる環境は変わらんとは思うがな、ただ、あっちでも日本に居る時と同じ物ばかり見ていてもあまり面白く無いし。

とりあえずこのBlogは残すが、場合によってはリニューアルして行く可能性もあり。まぁリニューアルと言っても背景程度かも知れないけど(笑)

参考文献としては、坂本龍一教授のこのコラムかな。これをきっかけに書いた、というのもあるので。

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昔、18世紀とか19世紀の頃(バッハ・モーツァルト・ベートーベンといった作曲家がいた頃)のヨーロッパは貴族社会。
作曲家や演奏家といった、音楽を生業とする人(プロの音楽家)の収入源は、王室や貴族の”パトロン”から支払われる金。当然そういう人達に向けた曲が主体。(限られた人向け)
映画「アマデウス」を見た人なら分かるでしょ、あの世界です。
あぁいう貴族階級の人はとにかく金だけは有り余るほど持っているが超ヒマで、労働とは一切無縁で、1日中芸術をたしなむのに明け暮れる様な生活。
だから当然金を払う音楽に対して要求されるクオリティはとてつもなく高い
結果として、出来上がった物がどんなのかというと、それこそ当時の著名な曲がその後200年・300年経った現在においても未だに「クラシック音楽」として消えずに世の中に残っている、そういうレベルのクオリティ。
当時の音楽は当然直接の再現方法は「ライブ演奏」しかない訳だが、作品として完成された物を間接的ながら常に高精度に再現出来る様に開発されたのが「楽譜」。このお陰で、今の時代でも、今の演奏者が当時の「ライブ演奏」をかなりの精度で再現出来るわけ。

一方で、当時の一般の平民の間で広まる音楽は、作者個人の名前が前面に出た作品というよりは「詠み人知らず」的な位置付けで、祭りなどでいろんな人が演奏したり歌ったりしながら、人から人へ、世代間を伝わって行く。
録音機器などは当時は当然無いし、こういう地位の人達の音楽には楽譜もほとんど存在しないので、音楽を伝承する方法は基本的には「ライブ」の形で耳と口と文字を使う方法。

その後近代になって、フランス革命やらロシア革命が起こり、貴族社会から市民が主役の社会になった。
必然的に、音楽で収入を得るプロの音楽家の収入源も、貴族達から一般庶民に変わっていった。
しかし当然一般庶民ひとりひとりは、提供された音楽に対する対価は貴族ほどの単価では支払える訳がない。
ただし、お分かりの通り、支払ってくれる一般庶民は、単価は低いが「アタマ数」は貴族なんかより圧倒的に多い。
そこで、音楽家が、これまでの貴族相手の時と同程度の、生活するのに十分な収入を得るためには、単価が安い分、数で稼ぐしか無い。
すなわち、より多数の市民に受け入れられる種類の作品を作る必要がある。(語弊もあるが、クオリティそのものより「受け入れられるか」の要素が先んじる

さらにその後、これまで「ライブ」でしか表現出来なかった音楽を形のあるもの(メディア)に記録してほぼ永久に保管・いつでも再現出来る機械として、蓄音機が発明された。これはその後レコードになっていく。
この機械の発明によって、音楽家が「ライブ」で演奏せずとも、自分の曲の音源をその機械でコピーして売り、間接的に収入を得る、という新たなビジネスモデルが生まれた。これが「多数のユーザに向けた商売」へのさらなる加速につながった。
その後さらにステレオが開発され、音源を提供する手段(=メディア)はレコード・CDと変わって来て、音質の向上が一気に進んだ。
しかし、メディア(固体)に音源を記録して売るというビジネスモデルはかなり長い期間変わらず続いた。

ところが、1990年代になると「インターネット」が登場し、その後10年・20年掛けて、徐々に音源を提供する環境がほぼ100年ぶり?に大きく変わる事になる。
「音」という形の無いものをやり取りするのに、これまで必要だった固体の媒体が不要になって、「データ」という、形が無い状態のままでのやり取り(すなわち「ネット配信」)が可能になった。
当初はご承知の通り低音質だったが、これはさらに固体メディアの蓄音機→レコード→CDの流れと同様、年を経る毎に品質が向上していき、気がつけば、固体メディア上に載る音楽の品質に対し、一般人には区別出来ない位のレベルにまで追い付いてしまった。
形の無いものを形のあるものに載せる、というコスト・形のあるもの(メディア)そのもののコスト・輸送コスト云々が配信では全く発生しない。当然、配信の方が圧倒的に安くなる。(それこそ坂本龍一の言う通り、ゼロに近くなる)。
そうなれば、一般庶民が安い方を選択するのは当然。legalだろうがillegalだろうが、同じ品質のものがタダで手に入るのなら誰だってそれを入手しようとする。

これにより、音源自体の単価が価格破壊的に安くなる現象が起こり、音楽家は当然ながら「従来のメディアの形で楽曲を売る、というビジネスモデルに乗ることで得られていた収入」を得る事が一気に困難(というよりは「ほぼ無理」)になる。
ただでさえ、一般庶民は1人辺りが音楽に支払う単価が少ないので数で勝負するしかなかったのが、その単価がゼロに近付く事で、もう数で勝負するにも限界のレベルに来てしまう、ということ。
そうなると、音楽家が生きて行くには、もはや従来のビジネスモデルを変えるしかない、という事態に追い込まれている、今はちょうどその過渡期にあたると思う。

では従来のビジネスモデルをどう変える必要があるのか。
現状、実行されている方法論は主に2つ。

  1. 「一般庶民」と異なる、より単価の高い客層にビジネスの対象を変える。
  2. 音源を売って利益を得る、というビジネス形態そのものを変える。

これのどちらか1つだけを選ぶ、という類の物ではなく、そもそも2種類の方法論は全く切り口が異なるので、2つの戦略を両方同時に実行することだって出来る。

主に1の手段を選んだのが日本で言うとジャニーズやアイドル系の人々。もちろん「握手会付き」「イベント付き」など、2の要素も併せて取り入れている。
その「より単価の高い客層」は、当然今の時代には貴族階級というものは事実上存在しないので、一般庶民の中から開拓してターゲット化していく必要がある。
現状は具体的はこんなところか。もちろんあくまで「ターゲットとする主な客層」であり、振れ幅は当然存在するが。

  • ジャニーズ主体の男性アイドル・・・親からもらったお小遣いやアルバイトの金でCD買ったりコンサートに行ったりする、10代・20代の女子中高生層を中心とした、昔ながらの「男性アイドルの追っかけ」層の女性達。
  • 男性韓流アイドル・女性アイドル・・・狭い範囲に人並み以上に興味を示すマニアックな人格で、なおかつ高い可処分所得があるので2の様なビジネスモデルに付いていってくれる客層。すなわち社会人・主婦層。

一方2の「ビジネスモデルの形態そのものを変えていく」のを主体にした例というと、海外で従来のレコード会社とは異なるイベント会社と360°契約を結んだMadonnaとか、音楽以外の分野で自分のキャラクターを利用して商売をする人。もっと言えば、歌手が本業の音楽以外に自分の顔でTVで役者やったりモデルやったりCMに出たりするのも広い意味ではこのケース。

その結果、メディアorネットに関係なく、ただ「大多数の一般庶民向け」に受け入れられる様な物を目指して音源を提供して、数をこなす事で収入を得る、そういう近年まで主流だった音楽ビジネスから、プロの音楽家は徐々に距離をおきはじめている。
これが「音楽チャート」の形骸化につながっている。

では、そういう「限りなく価値がゼロになってしまった」音源を、マニアでない人も含めて誰もが無制限で触れられる場所で楽しむ場所はあるのか、というと、今の社会では当然「ネット」の中になるのでは、と思う。
そういう場所にはどういう人が集まるかというと、極端な話、「ただ音を作って鳴らすのが趣味で、楽しいから自発的にやる」タイプの"無名"の人々。それこそ昔から祭りやなんかで音楽を演奏して楽しむ一般人と同じ。
そこには「商売」の要素は基本的には無い。ただ「好きな人」がやってるのもあって、決してクオリティは低くない。
それが今の時代のニコ動でのボーカロイド「初音ミク」で作った音楽、的な物に該当するって事なんじゃないのかな。
ただ、昔の「一般大衆の間に広まった音楽」的な規模と比べればまだまだ相当狭い範囲での広まりではあるが。(正直、こういう世界に全く触れたことの無い人が世の中では大半だと思うし)

以上を踏まえて、今後の音楽業界がどういう方向に進んでいくか、というと。まだ結論っぽくはないが、今の時点ではこの程度の事しか言えないかな。

・プロの音楽家が発信する音楽については、まずメディアの固形物が消滅してデータ化に移行していくのは時間の問題。曲の単価も限りなくゼロに近くなり、ライブや音楽家の周辺グッズ等の総合的なパフォーマンスに対して対価を支払ってくれる客層を構築出来る人が生き残る世界になる。
以前より厳しい様にも見えるが、何てことはない、極論すれば昔のバッハやモーツァルトの時代と同じ(笑)。
アーティストとしての能力もさることながら、どういう「パトロン」を得る事が出来るかも生き残る為の重要な要素になっていく、ということ。

・大量の一般庶民の中に存在する音楽は、正直どういう方向に向かっていくのかちょっとまだ不透明な感じがする。
個人的にはニコ動での「初音ミク」系もネット内のマニア層に留まっている感じがするし、これが果たして今後キャズムを超えて大多数の一般庶民に広まっていくかというと、個人的にはあまり可能性は高くない気もする。ネタにされる対象の音楽の種類にもよると思うけど。
もしそういう音楽が今後残っていくとすると、今のネット上の形とは全く違う物が今後現れて一気に広まる、そんな可能性もまだあるんじゃないかな。
こういう時に逃げの言葉として便利な「過渡期」という言葉でごまかしておこう(笑)

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では、明日よりそのバッハやベートーヴェンの居た国に行ってきます(笑)
ごきげんよう。

2010.04.22

(多分)消えていくシングルCD

まぁ以前から度々触れてきた件ではあるが、シングルCDという物の売上のここ数年での落ち方が目を覆わんばかりの状況。

例えば先週リリースされた一連のシングルCDの1週間の売上枚数を示すオリコンの「週間シングルCDチャート」。今日4/26付として200位まで発表されたが、上位を見るとこんな感じ。

1位 HAPPY:BUMP OF CHICKEN(初登場)・・・96,527枚
2位 不自然なガール/ナチュラルに恋して:Perfume(初登場)・・・80,871枚
3位 また君に恋してる/アジアの海賊:坂本冬美(前週4位)・・・24,095枚

この辺りは別に(まぁ昔と比べると低いとはいえ)そう取り立てて目立つ程悪く無いように見えるのだが。特にPerfumeなどは今回、初動売上枚数は自己新だったらしいし。

ところが、ランキングの下位の方の週間売上枚数を見て行くと、まぁ凄い状況になっていて。

ずっと行くと50位が1,016枚。
53位から1,000枚を切って998枚。
さらにずっと行って100位は498枚(99位が501枚)
もっとずっと行くと150位は280枚
そして公表されているランキングで一番下に位置する200位の枚数は何と199枚。
どうも200位が週間売上200枚を切るのは長いオリコンチャート史上初の事態なんだとか。

だってあんた、1週間に200枚、というと、
全国北海道から沖縄のどこかで、1日平均30枚ずつ売ればあのオリコンチャートに名前と曲が載る
って事ですよ(^^;;;;)。
それこそ、親族集めて1人につき10枚ずつとか20枚ずつ買ってもらったらそれだけで載ってしまいそうなレベル(爆)

で、これは今週が特別悪かったわけではなく、ここ何週間かはずっとこんなレベル。
まぁ今週がその中でも一番悪いけど、ひょっとすると来週以降はもっと悪くなっているかも知れない。
これまで週を追うごとに数字が下がり続けて今の状態に至る、って感じなので。

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今更書くまでも無い事ではあるが、ここ最近はiTunesストアのダウンロード販売とか、携帯サイトの着うたフルで1曲何百円とかのオーダーで曲はすぐにダウンロードで入手出来る時代で。それにレンタルCDショップにもほぼ発売と同じ週か1週遅れ程度で入ってくる。
だから曲単位で買いたい人はより手間の掛からない&場所も取らないそっちに流れる、というのも確かにシングルCD購入が減っている一つの要因ではあるのだが。

ただ、今シングルCDがここまで売れなくなってる根本的な要因って、そういう事とは全然別の次元にある気がする。

だって全く同じ直径12cmの大きさ・同じ厚みのメディアにも関わらず、アルバムCDには10曲以上入って1枚3,000円弱、シングルCDには2曲(インスト入れて4曲なんて言うのは無しね)しか入っていないのに1,000円弱。
すなわちシングルCDの1曲あたりのコストはアルバムのほぼ2倍。

しかも日本の場合は、シングルCDの収録曲はその後リリースされるオリジナルアルバムのCDにほぼ含まれる。
すなわちそのアルバムを買った時点で、その前に1曲あたり倍近い価格で買っていたシングルCDの「音源」としての存在価値はほぼ無になる。
カップリング曲などはアルバムに入らないケースもあるが、その場合でもそのうち「カップリングベスト」みたいな形でアルバムになるケースが最近は増えているし。

この関係を見りゃぁ、曲の売れ筋だの質云々だの以前の問題で、純粋に経済学的に見ても、シングルCDを買おうという人なんて出て来ないと思うんだが(^^;;)。
どうしてもその音源がアルバムまで待てない、先発で欲しい、というのであれば、アルバムの1曲単位のコストにより近い配信とかレンタルからのコピーに流れるのは、人間の経済活動としては必然であって。
アメリカや欧州等の外国ではシングルCDの市場自体もう存在していないに等しい状態だが、この事象は上記の様な状況を考えると実に理にかなった現象。日本だけが異常とも言える。

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では。アーティスト及び芸能事務所・レコード会社といった発信側の立場からみて、こんなコスト面で全く割の合わない音源であるシングルCDを買ってもらう為には何が必要となるか。
すべきことは実に単純明快。

  1. 1曲あたりのコストを通常より下げる
  2. 音源以外の付加価値を追加する

経済の仕組み的にはこの2つしかない。

1.の典型例が最近たまに見かける「3曲・4曲入ったシングルCD」ですわな。
この手法だと、1曲あたりの価格が下がるだけではなく、単にシングルCDそのものの単価も上げられるので、これまでのシングルCDを値下げするよりも当然得られるキャッシュは多いわけ。
まぁそれにしても今週ニュースのネタになったEXILEのこれあまりにやり過ぎだとも思うが(爆)

2.を実践している代表は、AKB48を筆頭とした最近のアイドルユニットの面々。握手会参加券付きとか、ポスター付きとか、オマケ付けまくって濃いファンに大量にCDを購入させる、という手法。
他にも最近かなりのミュージシャンが実践している「DVD付き初回限定盤」もこっちに含むかな。

やれ「複数枚商法」だの、やれ「特典つけまくり」だの言って批判する方々がいるが、あぁいう商売のやり方は普通にビジネスやる立場の目からは何一つ不思議でも何でもない。人並みのビジネスセンスのある人なら誰だって発想する、そういうレベル。
レコード会社がCDを売るのが個人の道楽じゃない、一企業の経済活動である以上、あぁいう企画をもってシングルCDを販売するのは実に真っ当な流れである。

とは言え、上の2つの戦略を究極的に突き詰めてしまうと、1番の場合は今回のEXILEの例みたいになって結局
CDというメディアで音源売って利益を得るにはアルバムの形態で売るしかない
になるし、2番の場合は
もう曲単位の音源なんてタダでばらまいて利益率の高いグッズだけ売った方が儲かる
って事になってしまって、いずれのケースでも最終的には

シングルCDは基本的に利益を生む商品としての存在価値が無い

って結論にしか行き着かなくなってしまう。

今のシングルCDの市場のシュリンクっぷりは、だから個人的にも「仕方ない」という感想しか無いな。

ビジネス的な角度じゃない、音楽=芸術面の角度から見ると、アナログレコードの時代から何10年も日本の音楽界で続いてきたこのシングルの存在が風前の灯なのは寂しい面もあるけど。
まぁこれが時代の流れですよ。

2010.02.24

有料音楽配信売上実績の調査

ちょうどこれ、火曜日朝のNHKニュースでも取りあげられていたので、改めて数字を確認してみた。

日本レコード協会(RIAJ)のサイトで公開されていたデータ。

2009年第4四半期(10月~12月)および2009年年間有料音楽配信売上実績について

先日は2009年のCD売上が一気に昨年比10%以上減、という話題を取りあげたが、「じゃぁダウンロードや着メロといった配信の方はどうなの」という記事。

これ、ついでだからここ数年の数字も並べて見た方が傾向は掴めるので、2005年の年間累計から5年間分並べてみた。
すると、実に分かり易い傾向が見られた。

数字を並べてみるより、Excelで数字を拾ってグラフにした方が圧倒的に分かり易い。
下に示すグラフを参照。

・まず、「インターネットダウンロード」これはiTunes StoreやNapsterといったPC経由のダウンロードの年ごとのダウンロード回数及び売上金額の傾向。
(Rev.1)数量のグラフは、シングルとアルバム&音楽ビデオのオーダーが違うので2枚のグラフにしていたが、縦軸を2種類にして1つにまとめた。

Pcdownload1

Pcdownload2_2

2008年から2009年にかけて、若干シングル・アルバム・ビデオとも上昇度が緩くなりつつあるが、前年までの売上の伸びと比べてもそれほど大きく変化はない感じ。特にアルバムは非常に「堅調」というところかな。

・一方、携帯の、いわゆる「着うた」「着うたフル」が該当する「モバイル」の売上傾向。

Mobiledownload1_2

Mobiledownload2_2

PCのダウンロードとは大きく異なる傾向を示している事がお分かりかと思う。

最もハッキリと分かるのは、「着うた」を意味する”Ringtunes”の売上が、2007年をピークにここ2年で急落している事。
一方、PCのダウンロードで堅調だったシングル・すなわち携帯でいう「着うたフル」が該当する”シングルトラック”の方だが、2007年まではかなりの上げ幅で、2008年も若干傾きが鈍ってはいるものの堅調だったのだが、2009年になって一気に横這い状態に転じてしまっている。

このグラフを見れば、ちゃんと数字を分析出来る人なら、もう今年2010年は高い確率で「着うたフル」も2008年の着うたと同様にマイナスに転ずるであろう、と、容易に見当が付けられると思う。

こういう傾向を示している理由としては、「着うた」「着うたフル」のユーザ層がどういう人か、という事を考えれば何となくイメージが湧く。
「着うた」を積極的に使うユーザは、要するに音楽なんてサビの部分だけ聴ければそれで良い、という程度の、「超ライトな音楽ユーザ層」というところ。

そういうライト層が、一昨年あたりから急に、みんな「着うた」を積極的に購入しなくなり始めた、と。
そもそも「着うた」とは言っても、あんなのを着信音にしてしょっちゅう入れ替える、なんてのは、それほど多くの人がやるのは考えづらい。

で、ふと気付いたんだが、この「減り始めた」2008年って、年の当初に青山テルマの「そばにいるね」がヒットして、「着うたダウンロード世界記録」だか何だかで騒がれた、まさにその年な訳で。
皮肉なことに、あの曲のヒットをピークに雨後の竹の子みたいに似たもの同士の”着うた向け”「ラップ付きラブソング」とか「アンサーソング」のリリース&”着うた○万ダウンロード”的な宣伝が乱発し始めた、そのあたりから「着うた」自体の市場がシュリンクし始めた、という事になるな。
明らかにユーザがあぁいう曲の乱立に飽きてきた、という傾向を示しているのではないかと。

まぁ、おっさんの感覚で見れば、携帯電話で音楽を聴く、というのにかなり違和感がある(あ、iPhoneは別だよ。あれは逆に「電話機能が付いているiPod touch」だから(笑))のだが、そういう目で見ると徐々に携帯の着うたや着うたフルの売上が落ちて、PCダウンロードが堅調、というのはまぁ健全な姿かな、なんて思ってしまうのだが、これがレコード会社の立場だと全然深刻で。

なぜか、理由は簡単。
「インターネットダウンロード」と「モバイル」、双方の金額ベースの縦軸の「金額」のオーダーを比較すれば一目瞭然。市場規模が圧倒的に違うの。「着うた」市場はPCダウンロード市場の2倍・3倍以上のオーダー。
その、圧倒的に規模の大きい市場の売上がついに今年から金額ベースで前年比で減少に転じた、これは各レコード会社にとってはとてつもなくショッキングな数字だと思う。

上に予想した通り、もし2010に「着うたフル」のカーブが2008年の「着うた」の様に、10%超の売上減に転じてしまったら・・・トータルの売上減は今年の比では無くなる可能性が十分ある。
CDと配信が両方とも2桁%減なんて事になったら、もう目も当てられないなぁ。

以前からしつこい様だけど、今年・来年のうちに何社かメジャーの会社は潰れるか吸収合併されると思うよ、間違いなく。

2010.01.08

2010年のフェスあれこれ

年始早々、日程が発表されたり新しいフェスの開催ニュースがあったりと、もう何だかごちゃごちゃな状態なので、いっぺん情報を整理してみる。

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まず既存のフェス 国内の春・夏のフェスの相当部分が正月早々日程発表。
ナタリーにまとまった記事があるので、各フェスの開催日程とかいちいち書くのめんどくさいから割愛。

サマソニとRIJが日程かぶり!主要夏フェススケジュール

最大のトピックは記事の見出しそのまんまで。確かに今年のカレンダーじゃそうせざるを得ん感じではあるがな。
でも良く分からんのは、この日程被りの件を各フェスのWebサイトで共通の内容の文章を載せて報告しているのだが、そこに連名になっているのが何故かフジロックとロッキンとサマソニの3者。
なぜここにフジロックの名前があるんだろう(^^;;)。他の2件のフェス日程被りとは一見何の関係もないのに。
しかしこの連名にライジングサンが加わっていない、てのが何ともである。
だったらロッキンを1週間遅らせてライジングサンと被せたら面白い事になりそうなのに、なんて事も思っちゃったな(核爆)。一昨年の騒動もあるし。

あと、そのロッキンと被ったサマソニ、昨年は10周年で3日開催だったが今年はそれまでの2日開催に戻るらしい。
ただ、その説明するWebサイトの文章が何だか言い訳がましくて(笑)

個人的には、今年は正直なところ相当海外出張が多くなりそうで、それもどの出張もいつ頃になるか分からん類の物ばかりなので、基本的にはロッキンの様な「何ヶ月も前に事前にチケット買っておかないと取れない」様なフェスには行けない(去年みたいに、チケット買っておきながら行けないという事になる可能性大)。
なのでもしこの週行くとすれば当日券買ってサマソニ、という事になるだろうな。
恐らくこの日程だったら、よっぽど奇跡的な面子が揃わん限りは、例年通り土日とも「当日券あり」になりそうな気がするし。

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それと、今年目立つのはさらに新しいフェスがどんどん増えていること。

先日ご紹介した、ロキノンが「伝説のウドーフェスの呪い」に果敢にも真正面から挑戦する(笑)、5月に富士スピードウェイで実施の新しいフェス”JAPAN JAM”だけかと思いきや、その後こんな2件の新しいフェスの情報が立て続けに。

新型東京フェス「ROCKS TOKYO」5月開催決定

肝心のWebサイトにほとんどまだ情報が無いのでどんなもんなのかさっぱり分からんが、何気にこのフェスの開催情報がクリエイティブマンのサイトにサマソニと並んで載っていたりするので、恐らくサマソニ同様ここが主催なんだろう。
サマソニが上の様な状況で、今年はどうやら客の入りが期待出来ないから、その分別の時期にもう1件フェスやって補填、って事かも知れん(爆)

さらに今日になってこんな新しいフェスの情報が。

ヒットチャートの主役が集結!新フェス「GO! FES」始動

「GO! FES」はヒットチャートの主役が集まることをコンセプトにした新しい形の都市型フェス。

これはまた何ともぶっ飛んだコンセプトだこと(笑)
しかも開催3月ってめちゃめちゃ早い時期じゃないか。
まぁロキノンが開催には絡んでるようなので、何とか形にはしていけるんだろうけど。
「ヒットチャートの主役」が集まるフェスってことは、来週発表されるらしい第1弾アーティストはジャニーズとかAKB48とかアニソン歌う声優とか、そんなのばっかりになるって事ですかね(爆)
ある意味どういう結末になるのかが楽しみ。

2009.08.08

オーストラリア滞在記とか。

今日、iPhone購入に伴うソフトバンクへの携帯乗り替えキャンペーンのこの商品↓が届きました。

Otousan_strap

本体もさることながら、運送屋にも思いっきり中身がバレバレな箱のデザインも何だか(^^;;;;)
(包装紙も何も無く、この箱にそのまま伝票が貼られていた)

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先日の水曜日、2連チャンの2度目の出張であるオーストラリアから帰ってきました。

今オーストラリアは当然ながら真冬なのだが、行った先は緯度の低いクィーンズランド州だったので、朝は寒いが日中は25℃以上になる様な場所だったのもあり、あまり季節の違和感は無し。

まぁ、行った先のRockhamptonという街は州都のBrisbaneから飛行機で1時間ほど北(暖かくなる方)に飛んだ所にある街で、かなり田舎で特にめぼしい物も無いので、あまりネタは無いのだが、
カンガルーにワラビーにコアラにエミューにウォンバットにディンゴという、「オーストラリアの動物」がほぼコンプリートに揃っている動物園に無料で入れるってのが一番の見所ですかね。

Coala

鍾乳洞みたいな洞窟も有名らしいので行ってみたのだが、ガイド付きで見られるのは全体のごく一部で、正直言ってつい数ヶ月前に行った石垣島の鍾乳洞の方がよっぽど立派だったなぁ。

最後の日は半日くらいBrisbaneで過ごしたが、ここもまぁ「普通の都市」って感じの街。結構年季の入った建物もあったりして、見た目には結構楽しめる街ではあるが、特に観光客向けの見所が何かある、という訳でもない。

Brisbane

6年前に同じ所に出張に来たが、その時にも思ったのだが、あの国の「太った人」の体型ってアメリカとほとんど同じ感じね。日本人ではまず有り得ない様な、人間と思えない様な体型というか(爆)。
絶対通れないドアとかありそうな感じの(笑)。
特に中年女性に多い気がした。
やっぱり肉と甘い物ばっかり毎日食べてるとあぁなるのかねぇ(^^;;)

まぁ、そんな感じですわ。

さて、明日は夏フェス第2弾サマソニ 幕張までBeyonce観に行ってきます。