芸能人の本の話
シルバーウィーク(笑)は結局1日だけ日帰りでドライブしただけで他はどこにも行かず。
その日は千葉県の海岸沿いをドライブして、片道5時間ほどかけて今話題のこれ↓を見てきました(爆)
屋根まで貫通して焼けてる位だから、確かに家の中はほぼ全焼ですね。
海岸沿いの国道(R126)の1本裏(山側)の道に面した、ちょっと高台になった場所に建ってたんだが、国道に面したセブンイレブンの駐車場に車を停めて降りると、こちらから探そうとしなくても勝手に視野に向こうから入ってくる位目立つ(笑)
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そんなことはともかく本題。
最近、2冊の芸能人の著書(うち1冊は、本人の講演の内容を活字化したもの)を読んで、それぞれ興味深い点があった。
そもそも本屋に行った目的は、発売されるというニュースを聞いた時点で興味を持っていた、小室哲哉の著書「罪と音楽」を買おうと思った為。
で、とりあえず裁判の経過絡みの章などどうでも良い内容なので、それ以外の、彼が現在のJ-POPについて色々思うことを書いた章を優先して一通り読んで、何となく見えてきた事があった。
結局彼は、アーティストとは言っても、英語の意味通りの「芸術家」では無いんだな。その実体は「究極の音楽オタク」なんだな、ということ。
それも自分でオリジナルの曲、それもミリオンセラーのレベルで一般大衆に受ける楽曲を作る事が出来る、普通にはいない日本最高レベルの音楽オタクなのである。
とにかく、昔から世の中にある音楽は、洋楽・邦楽含めて、彼の中ではものすごく研究出来ている。だから「世の中の一般庶民にウケる音楽のツボ」も、そういう研究の結果から習得出来ている。なのであれだけミリオンセラーを連発出来る。(出来た、という方が正しいか)
ただ、彼は莫大なお金を稼げる曲を作る音楽家にはなれているけど、分かり易い有名人で例を挙げれば、坂本龍一の領域には一生到達出来ないタイプだと思った。
(あの人は、小室とは全く対極の、正に「究極の芸術家」タイプだと思う)
これは本人の持って生まれた資質面だと思うので、どうしようもない事だと思う。
読んでそれを強く感じた理由は、文章の1個1個のパラグラフで書かれている、世の中のJ-POPの分析は非常に深く細かい内容なのだが、いざその章の全体を通して読んでみると、話に纏まりが全く感じられないのである。要するに個々のポイントについてはすごく詳しいのだが、それぞれの話のつながりがはっきりしないので、全体を読んだ後に、「結局この人は全体を通して何を言いたいんだろう?」というのが良く分からない、そんな本であった。
性格的に、「木を見て森を見ず」的な一面を持ってるんでしょうね。
もっと言うと、全体的な「自らの音楽の揺るぎない軸」を実ははっきり持てていない、というか。
だから、いざその「最も得意な(というかそれしか得意分野のない)」音楽の分野でうまく行かなくなった時に、頼るべき「軸」をはっきり持てていない為に、その状況に応じた対応を取ることが出来ず、周りの人達にも若干恵まれない点もあったかも知れないけど、歯止めが利かなくなって堕ちるところまで堕ちてしまう、という今の彼の状況には何となく納得がいく。
なので、今後彼が音楽家として復活する為には、今現在のJ-POPのトレンドを彼なりの深い「オタク的分析力」で分析して、これまでミリオンセラーを取った時の方法論を改めて再構築して曲を作っていく、それしか無いでしょうね。
まぁ多分そういう方法でしか曲を作れない人だと思うので、言われなくてもそういう曲の作り方してると思うよ。
それが結果的に嵌るかどうかは、それこそ作って世に出してみないと分からないけど。
本の中にこういう一文があったけど、これを彼に言った「音楽業界の大先輩」は、彼の本質を良く見抜けているという事だろうね。
「小室くんは、本当に音楽マニアだよね」
音楽業界の大先輩から、ちょっと呆れたように言われたことがある。
「僕の知る限り、山下達郎、小林克也と小室哲哉が三大音楽おたくだな」
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で、その本のたまたま隣に平積みしてあった本をちょっと立ち読みしてみると、結構面白かったので一緒に買った、そういう本がもう1冊ある。
紳助がNSC(吉本総合芸能学院)所属の見習い芸人相手に行った講演を活字化した「自己プロデュース力」という本。
(その講演の内容は、DVD「紳竜の研究」という形でも発売されているのだが)
以前、会社でマーケティングの研修を受けた際に、講師が吉本興業の幹部社員と会話した時に聞いた話として、島田紳助という芸人のマーケティング的センスの高さについて語っていた(以前このBlogでもここでネタにしている)が、その時その講師が語っていた事が、直接紳助本人の口でそのまま語られているので大いに納得した。
本の内容をここでそのまま掲載すると著作権の問題もありそうなので止めておく。短くてすぐ読める本なので、是非一読をオススメする。
ポイントだけ書くと、以下の様なところに着目した。
- 自分達の漫才の、客の対象を特定の年齢層(具体的に言うと、自分達と同世代の20代〜30代の男性)に絞り込む作業をデビュー当時から彼は実践していた。(マーケティングで言うところの「ポジショニング」「ターゲッティング」そのもの)
- X(自分の能力)+Y(世の中の流れ)を常に意識するのが重要。また、一発屋でない、長く売れる芸人になる為には、Yの変化に合わせてXを自ら変化させなければいけない。(さんまもそれを実践している、と)
- 面白いネタの為には、何かピンポイントで詳しくなれば良い(何でも詳しく、賢くなる必要は無い)。但し、その興味を持った物については、スポーツなら試合を生で見、音楽ならコンサートを生で聴きにいって、「頭」でなく「心」で覚え込むこと。「心」で覚えたことは一生忘れないから、いつでもすぐ口から出て来る様に出来る。
- M-1で予選を勝ち残るには、審査員への印象が全てなので、目の前の客ではなく、その奥にいる審査員の心理を考えながら漫才をしないといけない。
話によると、そのDVDで見られる内容を本では一部端折っているとの事なので、DVDもちょっと見てみたい気がした。
この人が、芸人や司会業以外にも、いくつかの商売を成功させたり、一連の「ヘキサゴン」での「羞恥心」を筆頭とした音楽ユニットを何組も成功させたりしているのを見ると、この人が自分をプロデュースする能力ってのはどんなビジネス分野でも通用するレベルのものだ、という事が良く分かりますね。