アーティストの他国への進出の件。その2
前回、続きは明日と言っておきながら結局1週間経ってしまった(笑)。
まぁ長いネタは週末くらいにしか書けんわ、実際のところ。
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さて、前回は欧米地域に進出する日本のアーティストのネタだったが、今回は逆で、日本に進出してくる海外のアーティスト(というかタレント)のネタである。
ここ最近、韓国のアイドルユニットが立て続けに日本でデビューしている様なのだが。
既にアイドル歌手ユニットというと東方神起あたりはしっかり実績残しているが、今さかんに日本に来ているのは女性アイドルのユニット。しかもそれぞれ地元韓国では実績十分な大人気のユニットばかりだそうだ。
例えばこんなの。
まずは今年の5月にこの”4minute”ってのが切り込み隊的に日本にやってきて、2曲ほど出してどっちもオリコンチャートでは初登場20位台あたり。まぁそこそこな位置。
4Minute『世界を魅了する韓国女性グループが日本上陸!!』
で、その次に8月になるとKARAっていうユニットがやって来た。こちらはかなり事前にも宣伝に力を入れていたらしく、メディアの取りあげ方も一般スポーツ紙含めかなりのもの。
KARA『楽しく自由に遊んで 一生懸命!!K-POPガールズ期待の新鋭が日本デビュー』
で、いざCDデビューしてフタを開けてみると何とオリコンチャート初登場5位まで持って来た。
韓国ガールズグループ・KARA、ノーランズ以来29年8ヶ月ぶりの海外女性グループデビュー作TOP10入り
で、来月にはいよいよ韓国の女性アイドルユニットの中でもトップクラスと言われるこのユニットがCDデビューとのこと。
こちらは先にデビューした2組をはるかに上回る規模で大キャンペーン中。
“美脚”グループ・少女時代、韓国女性グル―プ初のDVD総合TOP5入り
KARAとの規模と比較しても、普通に考えても恐らくオリコンチャートでは相当な上位に来るのではないかと想定される。
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さて、上に紹介した韓国の女性アイドルユニットの各種イベントなんだが、どうも日本のアイドルユニットとは明らかに違う客層らしく。
以外に多いのが10代20代の女子なんだと。
あと、ネット見てると男性だと結構高い年齢層にも名前が通っている様で。
今日本じゃほぼ一人勝ち状態のAKB48など、客層は20代/30代のヲタ男性が中心なのだが(さすがに今では女子にも名は広まりつつあるけど、人気出る前は完全にヲタ男性がターゲット)、彼女らのイベントに集まるのは全然そっち系じゃないんだとか。
それを読んで、なるほど韓国らしいな、と思った次第。
これを「韓国らしい」と思った理由は何か。
それは、全然違うビジネス分野ながら、自分が今関わる業務分野でも韓国の人達の海外のビジネスのやり方には際立った特徴があると思ったので。
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韓国人の海外でのビジネスのやり方にはジャンルに関わらず1つの共通点があり、それは
「他の国がなかなか行かない様な市場への進出が異常に早い」
ということ。
例えばアメリカがかつてテロ支援国家に指定していたリビアとか、旧ソ連の中央アジア諸国とか、中近東の小さい国とか。
驚くくらい、「こんな国になぜ」という様な国に韓国人が先に乗り込んでいる。
あと、今住んでいるドイツでも、アジア人向けの輸入食料品店とか、カラオケバーとか、そういう店を経営しているのは大部分が韓国人だったりする。
当然彼らは日本人相手にもそういう国でちゃんと日本語で商売をする。ほぼ全員が滞在先の言語以外に日本語も話せる。多分中国語だって話せる人いると思うよ。
なぜ韓国人はそういう商売のやり方をするのか。
ある所で聞いた韓国人の話によると、
「韓国製の製品は、海外で売ろうとしても、品質では日本製に負ける。さらにコストでは中国製に負ける。
だから日本製や中国製も売られている市場に持っていってもセールスポイントが無く苦しい。
じゃぁどうすれば良いか。日本も中国も進出していない様な場所に行って商売するしかないじゃないか」
という発想なんだとか。
それに加えて韓国という国は面積も小さいし人口も少ない、さらに少子化は日本なんて甘っちょろいレベルで激しい進み方。
だから国内市場も日本よりはるかに縮小傾向であり、国内の商売でなんてやっていけない。
(これは韓国国内のCD市場もそうらしいが)
だから上の様な発想で海外で商売しないとこの国の企業は食っていけない、という事。
その結果、日本じゃほとんど見ないHYUNDAIの自動車はアメリカに行っても中国に行っても、さらには最近ではヨーロッパ各国でもかなり目に付くし、SamsungとかLGとかの家電製品とか携帯は、海外のどの国に行っても、日本の家電をほぼ凌駕している。
Samsungの2009年のInterbrand社のトップブランドランキングなんて、日本のどの電機メーカよりも上(世界で19位)だし。(ちなみに日本企業でこれより上なのは8位のトヨタと18位のホンダのみ。ソニーは29位、パナソニック75位)
トップ100のランキングについてはこちらを参照されたし。
日本の外に出たら、いかに今世界中で日本製品が韓国製品(最近は中国製品も)に押されっぱなしか、誰の目にも良く分かるよ。
日本国内に居る限りは全然感じられないだろうけど。
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話を元の芸能界に戻そう。
韓国の業界が彼女らアイドルユニットを売り込むのに、どういう戦略を立てているか、それがこの今回のKARAの売り込み方を見てると非常に明快。
明らかに日本人が気付いていない「別のファン層」の存在に気付いていて、そこを突いてきているってのが良く分かる。
日本の業界って、AKB48がちょっとあぁやって20代・30代のヲタ男性をターゲットに成功したのを見るや、その後雨後の竹の子状態で同じ様なフォロワーのアイドルユニットがわんさか出てきている。
でも彼女らを見てると結局ファンのターゲットはみんな同じ。女性アイドルユニットを好むのは20代・30代の、可処分所得の高いヲタ野郎共、という枠組みをみんな揃って作ってしまって、その狭い範囲の中でファン層の奪い合いをしているのが実情。
女子はみんなジャニーズとか男性アイドルに行っちゃうだろう、と決めつけてしまっている様にすら見える。
AKB48はようやく最近は女子含めた一般層にも名前が広まりつつあるが、これはごくわずかな勝ち組にのみ発生する傾向。
「その他大勢」のアイドルユニットなんて一般層はみんな興味無いのが実情だろう。
でも良く考えたら、例えば昔だと、あの一世を風靡した”SPEED”なんて、女子にもめちゃくちゃ人気あったじゃないか。そもそもカラオケで歌われる事考えれば、女性アイドルユニットを女子向けに売り込むのって何一つおかしな戦略でも無い。
でも結果的に今の時代の日本のアイドルユニットでそれを実行しているのってほぼ皆無。
それを見て韓国の芸能界がそこを突いてきたってのが実に皮肉というか何というか。
ある意味、国内の業界に関わっていない、日本の外から状況を見る立場だからこそ実行出来た戦略なんじゃないか、と思っている。
今ふと思い返せば、東方神起のファン層ってジャニーズを追っかけるファン層と微妙に異なるよね。明らかにジャニーズのファン層である10代中高生をコアにしていない、もう少し上の年齢層をターゲットにしている様に思える。
彼らが時間を掛けてでもちゃんと日本の歌手活動を軌道に乗せたのは、ジャニーズと微妙に被らないファン層の構築に成功したからだと思う。(まぁ結局自前の事情で分裂しちゃったけど。あれはもったいないなぁ)
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あともう1つポイントがあって。
韓国のユニットってちゃんとステージ上の歌やダンスといったパフォーマンスにしっかりした「売り」を持ってる子達だな、という感じがする。
そんなファンの心を掴む『少女時代』の魅力は、「歌、ダンス、スタイル全てがすごい!」というプロフェッショナルさ、そして「曲を聞いているとクセになる」という点にあるようだ。
日本のアイドルにありがちな「歌もダンスも特に目立つ訳では?なんだけど可愛いから売れてる」的な売れ方なのアイドルはほとんど存在しない気がするな。まぁそういう要素で売るのは「日本人」でないと厳しいから当然かも知れないけど。
もちろん日本のアイドルでも、曲やダンスのクオリティ勝負で広いファン層の支持を得ているPerfumeという好例もあるが、こういうのは本当にまれ。
で、ここ最近の日本で「プロっぽくないけど身近な存在」が売りの芸能人があまりにも乱発され過ぎて、もういい加減みんな飽きてきたんじゃないのかな、と。
そういう人達が結果的に韓国のアイドルユニットに流れる、ってな構図は十分あると思うな。
これ、書いてみた後に良く考えたら
「日本のドラマの拙い脚本やヘタな演技の役者に飽き飽きしていた年配の人達が韓流ドラマを見てハマる」
という構図と全く同じなんじゃないか、て事に気が付いた。
同じ事が今度は音楽業界でも起こりつつあるんじゃないの。
とりあえず再来週の少女時代がオリコンで何位くらいに来るのかには注目。
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